不動産を高く売るタイミングってあるの?
目次
- ○ 売出価格を決める際に重要なもの
- ・(1)売出物件
- ・(2)成約物件
- ○ 売出のタイミングについて
- ○ まとめ
売出価格を決める際に重要なもの
そもそも、物件の売出価格はどのように決めていくのかを説明していきます。
価格を決める際は、そのお部屋の状態(陽当たりやリフォーム状況等)も大事ですが、マンション内の売出物件、成約物件、周辺の類似物件の売出物件、成約物件も重要になります。
(1)売出物件
売出物件を知ることで、ライバルになる対抗物件がいくらくらいで売りに出ているのかが分かります。
マンション内で、売りに出ているお部屋があれば、広さや部屋位置、リフォーム状況などによって価格の差別化を図っていきます。また、周辺の類似物件については、ご所有のお部屋と立地や築年数、広さなどの条件が似ている物件を類似物件として見ます。
もし、ご自身が買主の立場だった場合、条件を絞って物件を探していき、その中からより自分に合った物件を見つけていきますよね。例えば、探していた条件とぴったり合っているAというマンション内でお部屋が2件売りに出ていた場合、ルーフバルコニーが付いている部屋と付いていないお部屋だったら、「ルーフバルコニー」という特徴のあるお部屋の方が希少価値が高く、一方より高い価格でも「買いたい」と買主に思ってもらえる可能性が高いです。
他にも、角部屋だったり、最上階だったりと、そのお部屋の唯一の特徴があれば希少価値が上がるため、高く売却できる可能性があります。
このように、買主は、類似物件を比較しながら物件を探していくため、売却価格を決める際は、売出物件を知ることはとても重要です。
以前、私が担当していた売主さまで、売出物件を把握していたことによって、高く売却できた事例があります。
そのお部屋は、相場より500万円程高く売却できました。この物件の買主さまに購入した理由をお伺いすると「探していた条件に合う物件が、この物件だけだったので、即決した。」とのことでした。
この事例からも分かるように、ライバル物件が少ないタイミングであれば比較対象が少なく、高く売ることのできるチャンスです。
上記のように、条件などの違いから差別化を図り、マンションの売出価格を検討していきましょう。
ご自身でも、インターネットサイト(SUUMOやアットホーム、Yahoo不動産など)でご所有のマンションと条件が近い物件が、どのくらいの数、いくらくらいで出ているのかを見てみると参考になるかと思います。
(2)成約物件
さらに、成約物件の価格についても把握しておきましょう。
売出物件の把握も重要ですが、それだけでは実際にいくらくらいで売れているのかが把握できません。相場の把握のためにも、成約価格を知ることは重要です。成約物件についても、売出物件と同じように、マンション内と周辺の類似物件の把握が必要になり、1年分から数年分の事例から、どのように価格が推移しているのか、どれくらいで成約しているのか、相場より高く成約している物件があればなぜなのかを検討していきます。ただ、成約価格は一般では、売出価格よりも具体的な情報が入手しにくいです。
具体的な成約事例や成約価格を知るためには、不動産会社が活用しているネットワークシステムであるレインズと言われるものから情報収集をする必要があります。レインズとは、「不動産会社が物件の売出、成約情報を共有するシステム」のことです。不動産会社は情報を独占せず、より良い不動産取引きができるようにレインズを活用しています。レインズは、個人情報の保護のため、不動産会社しか閲覧することができません。そのため、例えば、査定金額の提示を不動産会社に依頼した場合は、ほとんどの不動産会社はレインズの成約事例や売出事例をもとに、価格を算出します。もし、査定資料に成約事例があればしっかりと目を通しましょう。
以上の売出物件・成約物件は、価格を決める際に非常に重要なものです。例えば、売出物件が少なければ、比較対象が少なくなるので、高く成約できる可能性があります。逆に、売出物件がマンション内や周辺で多いと、その分、条件や価格で比較されることになります。
また、成約事例を見て、相場よりもあまりにもかけ離れた価格であれば、なかなか成約は難しいでしょう。
成約価格と売出価格のバランス、さらにご自身のご希望やご事情も踏まえた上で価格設定をしましょう。
売出のタイミングについて
次に、売り出しのタイミングについて説明していきます。
不動産の価格は、市況と大きく関わっています。分かりやすい事例いうと、バブル景気があります。バブル景気の際は、インフレになり、モノの価値がとても上がりました。そのため、不動産の価値も上がり、不動産の価格が高騰しました。ですが、その後バブルが崩壊するとデフレになり、モノの価値は下がり不動産の価格も下がりました。
現在は、コロナの影響が気になりますよね。
日本経済新聞(2021年4月25日)によると、実は、コロナ禍で都心や郊外の住宅価格が上昇しています。都心の価格上昇に関しては、高所得者の購買意欲が高く、住宅購入希望者が多いことなどが要因だと考えられます。また、郊外の価格上昇に関しては在宅勤務やテレワークの定着により、割安な郊外の住みやすさが注目されていると考えられるのではないでしょうか。
また、レインズが発行元である2021年5月度の「月例速報マーケットウォッチ」によると、中古マンションの5月の成約物件(首都圏)について、中古マンションの成約件数は、1990年5月のレインズが発足以来、過去最高の件数になっており、中古マンションの需要が高まっていることが分かります。さらに、成約㎡単価は13か月連続、成約価格は12か月連続で前年同月を上回っています。このように、中古マンションの需要が高まり、価格についても上昇傾向にあります。そのため、現在は、中古マンションが「高く売却できる」時期であることが分かります。
そして、市況は、1年後や、さらに数年後、10年後にどのように動いていくのかは明確にはわかりません。そのため、「現在」と「過去」の市況がどのような状態なのかを把握し、具体的に価格の動向を知るためにも、はじめにお伝えした売出物件・成約物件、市況を把握することが重要です。ご自身のご所有の不動産のある地域やマンション内での価格の推移をしっかり確かめましょう。
まとめ
ご自宅の売却を決断した際「良いタイミングで高く売りたい!」と思いますよね。
そのためには、
①ライバル物件がどのくらいの数売りに出ているのか、いくらくらいで売りに出ているのかを知ること。
②現在の市況を知ること。
以上の2点がとても重要です。
①に関しては、ライバル物件が少なかったり、ご所有のお部屋に特徴(角部屋、最上階、2面バルコニーがある、など)があると希少価値が上がり、高く売却できる可能性があります。②に関しては、未来の市況は明確には分かりません。そのため、過去の成約物件、過去の市況、そして、現在の市況についてよく把握し、「今が高く売れる時期なのか」をしっかり見極めましょう。現在は、マンションの需要が上がり、価格も上昇傾向にあるため、高く売却できるチャンスなのではないでしょうか。
以上を把握することで、相場や市況の動きについて知ることができます。ですが、不動産の相場や、売却方法については、把握しきれないこともあるかと思います。そのような時は不動産会社に相談することで、より詳しく相場などを把握することができます。
当社でも、価格査定や相場、売却についてのご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。